日本財団 図書館


 

とからなる大きな過渡電流が流れ、数秒後には減衰して持続短絡電流の値に達する。
(i)交流分
短絡電流の交流分の大きさは、発電機のリアクタンスにより決定される。
この発電機の短絡電流は短絡の瞬時が最大で時間の経過とともに減衰する。この減衰の速さ(割合)は発電機の種類によって大きく異なるが、このように短絡電流が時間の経過とともに減衰するのは、発電機の内部リアクタンスが時間の経過とともに増加するからである。
いま、誘起電圧は短絡が発生してからも変わらず、それまでと同じく一定であると仮定すると発電機の短絡電流は次式で表すことが出来る。

056-1.gif

ただし
Iac:発電機短絡電流交流分(A)
E:発電機誘起電圧の波高値(相電圧)(V)
X"d:直軸初期過渡リアクタンス(Ω)
X´d:直軸過度リアクタンス(Ω)
Xd:同期リアクタンス(Ω)
T"d:短絡初期過渡時定数(sec)
T´d:短絡過渡時定数(sec)
α:短絡時の電圧位相角(ラジアン)
上式において〔〕内の第2項はT"dとなる時定数により、また第3項はT´dなる時定数により、それぞれ減衰する過渡的なもので、短絡発生後、充分な時間を経過した定常状態では、

056-2.gif

となり、これを持続短絡電流と呼んでいる。
一般にいってX"d《X´dであり、初期過渡リアクタンスX"dに関するものは、短絡発生後、数サイクルで完全に減衰し、過度リアクタンスX´dに関するものはその後次第に減衰する。
(式1)をよくみると、短絡電流IaCが最大となるのは短絡瞬時、すなわちt=oの時でかつ、短絡時の電圧の位相が零又はπ(180°)の時である。このことは(式2)の持続短絡電流についても同じことが言える。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION